「録音の音量ってどれくらいがいいの?」
歌ってみたを始めたばかりの人が、最初につまずきやすいポイントです。
音量が大きすぎると「音割れ」、小さすぎると「ノイズだらけ」。どちらも後から修正が難しく、最悪の場合は録り直しになってしまいます。
この記事では、録音時の適正な音量レベルと、具体的な調整方法を初心者向けにわかりやすく解説します。

P!xL(ピクセル)
P!xL(ピクセル)
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- 歌ってみた制作株式会社PXstudio代表取締役
- 一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会監事
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- 過去Mix件数:2,000件以上
- 歌い手経験あり:3年程度
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歌ってみた録音の「適正な音量」とは?
録音の音量には「ちょうどいい範囲」があります。まずは結論から押さえておきましょう。
結論:ピーク-12dB〜-6dBが目安
録音時のピークレベル(最大音量)は、-12dBから-6dBの範囲に収めるのがベストです。
- 最大音量時(サビなど): -6dB程度
- 平均的な音量: -12dB〜-18dB程度
- 絶対に超えてはいけないライン: 0dB
DAW(録音ソフト)のメーターを見ながら、この範囲に収まるよう調整します。
なぜ「小さすぎず、大きすぎず」が重要なのか
録音の音量は「後からいくらでも調整できる」と思われがちですが、実はそうではありません。
大きすぎる場合の問題:
- 0dBを超えると「クリッピング(音割れ)」が発生
- 一度割れた音は、どんな高級ソフトでも修復不可能
小さすぎる場合の問題:
- 後から音量を上げると、ノイズも一緒に大きくなる
- ホワイトノイズや環境音が目立つ仕上がりに
つまり、録音段階での音量設定が最終的な音質を決めるといっても過言ではありません。
音量が大きすぎると何が起こる?【クリッピング】
「とりあえず大きめに録っておけば安心」は危険な考え方です。
クリッピング(音割れ)の正体
クリッピングとは、音声信号がデジタル録音の上限である0dBを超えたときに発生する歪みのことです。
- 「バリバリ」「ジリジリ」という不快な音
- 波形の頭が平らにつぶれた状態
- 聴いていて耳が痛くなる音質
デジタル録音では、0dBが「天井」です。この天井を超えた部分は記録されず、平らにカットされてしまいます。
一度割れたら修正不可能
「後で音量を下げればいいのでは?」と思うかもしれませんが、クリッピングした音は元に戻せません。
音量を下げても、波形の「つぶれた部分」は復元されないからです。
どれだけ高価なプラグインを使っても、プロのMix師に依頼しても、クリッピングした音を完璧に直すことは不可能です。
クリッピングは「修正」ではなく「予防」が全て。録音前の音量チェックが最重要です。
音量が小さすぎると何が起こる?【ノイズ問題】
「音割れが怖いから、小さめに録っておこう」——これも実は問題があります。
後から上げるとノイズも目立つ
録音レベルが低すぎると、後から音量を上げる必要があります。
このとき、ボーカルと一緒にノイズも増幅されてしまいます。
- エアコンの「ゴー」という音
- PCファンの「ブーン」という音
- マイク自体が持つホワイトノイズ
本来は気にならないレベルのノイズが、音量を上げることで目立つようになります。
「安全マージン取りすぎ」に注意
「-20dBくらいで録っておけば絶対に割れない」という考え方は、安全マージンの取りすぎです。
- ノイズとの比率(S/N比)が悪くなる
- 音量を上げる際に音質が劣化する
- Mix師が扱いにくいデータになる
適正な範囲(-12dB〜-6dB)を狙うのがベストです。
録音レベルの確認・調整方法【具体的手順】
実際にどうやって適正な音量に調整するのか、3ステップで解説します。
Step1:サビを一度歌ってピークを確認
まず、曲の中で最も声量が大きくなる部分(多くの場合はサビ)を歌ってみます。
このとき、DAWのメーター(録音トラックのレベルメーター)を確認してください。
- 0dBに届いていないか?
- -6dBを大きく超えていないか?
本番と同じテンションで歌うことが大切です。「確認だから」と力を抜いて歌うと、本番で音割れする可能性があります。
Step2:ゲインを調整して-6dB以下に
メーターが-6dBを超えている場合は、オーディオインターフェースのゲインを下げます。
逆に、-18dBより小さい場合は、ゲインを上げてください。
| 状況 | 対処法 |
|---|---|
| 0dBに届いている | ゲインを大幅に下げる |
| -6dBを少し超える | ゲインを少し下げる |
| -12dB〜-6dB | そのままでOK |
| -18dB以下 | ゲインを上げる |
一度ベストな位置が決まったら、メモや写真で記録しておくと、次回以降の録音がスムーズです。
Step3:通し録音で最終確認
ゲイン調整が終わったら、曲を通して歌ってみて最終確認します。
サビ以外にも、意外と声量が大きくなるポイント(Bメロの盛り上がり、落ちサビ後のラストなど)があります。
通し録音で問題なければ、本番の録音に入りましょう。
Mix依頼するなら知っておきたい録音品質のポイント
録音の音量設定は、Mix依頼する場合にも重要な要素です。
適正音量で録れていればMix効果は最大化
Mix師は、受け取ったボーカルデータを加工して、オケと馴染ませたり、聴きやすくしたりします。
このとき、元データの品質が高いほど、Mixの効果も高まります。
- クリッピングしているデータは、どうやっても音質改善に限界がある
- 適正音量で録音されたデータは、処理の自由度が高い
- ノイズが少ないデータほど、仕上がりがクリア
「データの状態」がMixの仕上がりを左右する
「歌が上手ければ、録音は適当でもいいのでは?」という考えは、実はもったいないです。
せっかくの良い歌も、録音品質が悪いとMixで十分に活かしきれないことがあります。
逆に言えば、録音品質が良ければ、Mix師はあなたの歌の魅力を最大限に引き出すことができます。
- 録音 = 素材づくり
- Mix = 素材を活かす調理
- 良い素材があれば、調理の幅も広がる
まとめ
歌ってみたの録音で適正な音量は、ピーク-12dB〜-6dBが目安です。
- 0dBを超えるとクリッピング(音割れ)で修復不可能
- 小さすぎるとノイズが目立つ原因に
- サビで確認 → ゲイン調整 → 通し確認の3ステップ
- 適正音量で録ればMix効果も最大化
「音量調整って難しそう」と思っていた方も、この記事の手順で設定すれば大丈夫です。
適正な音量で録音できたら、あとはMix師に渡すだけ。データの品質が良ければ、プロの手であなたの歌が一気に聴きやすくなります。
録音の基本については、歌ってみた録音ガイドでも詳しく解説しています。
ピッチやタイミングの修正についてはこちら → ピッチ・タイミングはどこまで直すべき?