「Mixって何から手をつければいいの?」 「EQ?コンプレッサー?用語が多すぎてわからない…」
歌ってみたのMixは覚えることが多く、初心者にとって難しく感じるものです。
この記事では、Mixで最低限必要な5つの処理に絞って解説します。まずはこの5つを押さえておけば、「素人感のある音」から脱却できます。
- Mixで最低限必要な5つの処理
- 各処理の目的と具体的なやり方
- 処理の順番と注意点
- 自分でやるか依頼するかの判断材料

P!xL(ピクセル)
P!xL(ピクセル)
- Mixxx(当サービス)運営者
- 歌ってみた制作株式会社PXstudio代表取締役
- 一般社団法人日本歌ってみたMIX師協会監事
- ミキシングエンジニア歴:10年以上
- 過去Mix件数:2,000件以上
- 歌い手経験あり:3年程度
- Xでも発信中@pixl_05
Mixで何が変わる?ありなしの違い
まず、Mixの効果を確認しましょう。
Mixの基本については「歌ってみたのMIXとは?」で詳しく解説していますが、ポイントは以下のとおりです。
- なし: ボーカルが浮いて聴こえる、音量がバラバラ、サ行がキンキン
- あり: instと自然に馴染む、音量が安定、クリアで聴きやすい
Mixは「音を良くする」というより、聴きやすく、違和感のない音源に仕上げる作業です。
では、そのために必要な処理を見ていきましょう。
最低限必要な5つのMix処理
歌ってみたのMixで押さえるべき処理は、以下の5つです。
1. ノイズ除去(録音データのクリーンアップ)
2. ピッチ・タイミング補正
3. EQ(イコライザー)で音質調整
4. コンプレッサーで音量を整える
5. リバーブで空間を作る
これらを順番に見ていきましょう。
①ノイズ除去(録音データのクリーンアップ)
録音した音声には、意図しないノイズが混入していることがあります。
- 部屋の空調音(エアコン、PCファン)
- マイクに触れた音
- リップノイズ(口を開ける音)
- 「ブーン」という電源ノイズ
これらを除去して、クリーンなボーカル素材にするのが最初のステップです。
- 無料ツール: Audacity(ノイズリダクション機能)
- 有料ツール: iZotope RX、Waves Clarity Vx
- DAW標準: Logic Proの「Denoise」など
ポイント: ノイズ除去はやりすぎると声質が変わってしまいます。「気になるノイズを減らす」程度に留めましょう。
②ピッチ・タイミング補正
録音した歌声のピッチ(音程)やタイミングのズレを補正します。
「え、自分の声を修正するの?」と思うかもしれませんが、プロの現場でも当たり前に行われている処理です。
- ピッチ補正: 音程のズレを修正(フラット/シャープを直す)
- タイミング補正: 歌い出しのズレを修正(先走り/遅れを直す)
よく使われるツール:
- Melodyne(業界標準、細かい調整が可能)
- Auto-Tune(リアルタイム補正向け)
- DAW標準のピッチ補正機能
ポイント: 完璧に直しすぎると「機械的な歌」になります。自然な範囲で、明らかなズレだけを補正するのがコツです。
③EQ(イコライザー)で音質調整
EQは、声の周波数バランスを調整するエフェクトです。
「低音をカット」「高音をブースト」など、特定の周波数帯を強調したり抑えたりして、声を聴きやすくします。
- 低音を切りすぎて薄い声になる
- 高音を上げすぎてキンキンする
- 極端なブーストで音が破綻する
基本的なEQ設定の目安:
| 周波数帯 | 処理内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 80Hz以下 | カット | もこもこ感を除去 |
| 200〜400Hz | 必要に応じて調整 | 声の厚みを調整 |
| 2〜4kHz | 軽くブースト | 声の抜けを良くする |
| 5kHz以上 | 必要に応じて調整 | 声のキラキラ感を調整 |
ポイント: 「ブーストよりカット」が基本です。不要な周波数を削る方が、自然な仕上がりになります。
④コンプレッサーで音量を整える
コンプレッサーは、音量のばらつきを均一にするエフェクトです。
歌は常に同じ音量ではありません。Aメロは小さく、サビは大きくなりがちです。この差が大きすぎると聴きづらくなります。
- 大きすぎる音を抑える
- 音量の差を縮める
- 結果として、声が安定して聴こえる
主なパラメータ:
| パラメータ | 説明 | 初心者向け目安 |
|---|---|---|
| Threshold | 圧縮が始まる音量 | -15〜-20dB |
| Ratio | 圧縮の強さ | 3:1〜4:1 |
| Attack | 圧縮開始までの時間 | 10〜30ms |
| Release | 圧縮終了までの時間 | 100〜200ms |
ポイント: コンプレッサーは「かけすぎ」に注意。声がペタッと潰れて不自然になります。「音量が揃う程度」を意識しましょう。
⑤リバーブで空間を作る
リバーブは、声に残響(エコー)を加えるエフェクトです。
これがないと、ボーカルだけ「浮いて」聴こえます。リバーブを適切にかけることで、instと自然に馴染みます。
- かけすぎると「お風呂で歌ってる」感じになる
- かけなさすぎると声が浮く
- 「いい塩梅」を見つけるのがコツ
リバーブの種類:
- Plate Reverb: 明るく存在感のある残響(ボーカル向き)
- Hall Reverb: 広がりのある自然な残響
- Room Reverb: 控えめで自然な残響
ポイント: 原曲(inst)に合わせてリバーブの量を調整しましょう。バラードは多め、アップテンポは少なめが基本です。
Mix処理の順番と注意点
基本的な処理順序
Mix処理には、やるべき順番があります。
1. ノイズ除去(素材をクリーンに)
2. ピッチ・タイミング補正(歌を整える)
3. EQ(音質を調整)
4. コンプレッサー(音量を整える)
5. リバーブ(空間を作る)
この順序が推奨される理由は、「前工程がきれいなほど、後工程の効果が出やすい」からです。
ノイズが残ったままEQをかけると、ノイズも一緒に強調されてしまいます。
初心者がやりがちな失敗3選
Mixを始めたばかりの方がよくやってしまう失敗を紹介します。
「なんか物足りない」と思ってどんどんエフェクトを足すと、逆に不自然になります。「やりすぎたら戻す」を意識しましょう。
ヘッドホンで「完璧!」と思っても、スピーカーで聴くと違和感があることも。複数の環境で確認しましょう。
耳が疲れると正しい判断ができなくなります。1時間ごとに休憩を入れるのがおすすめです。
自分でMixするなら?必要なツール
自分でMixに挑戦する場合、以下のツールが必要です。
無料で始められるDAW・プラグイン
まずは無料ツールで試してみるのがおすすめです。
無料DAW:
- Cakewalk by BandLab(Windows)
- GarageBand(Mac)
- Audacity(Windows/Mac)
無料プラグイン:
- TDR Nova(EQ)
- Rough Rider 3(コンプレッサー)
- OrilRiver(リバーブ)
無料ツールでも基本的なMixは可能です。まずは無料で試して、物足りなくなったら有料ツールを検討しましょう。
習得にかかる時間の目安
Mixスキルの習得には、それなりの時間がかかります。
| レベル | 習得時間の目安 | 到達できること |
|---|---|---|
| 入門 | 10〜20時間 | 基本的な処理ができる |
| 初級 | 50〜100時間 | それなりに聴ける仕上がり |
| 中級 | 200時間以上 | 安定したクオリティ |
1曲のMixに3〜10時間かかることも珍しくありません。
「投稿したい曲がたくさんある」「Mixに時間をかけたくない」という方は、外注も選択肢です。
「全部自分でやるのは大変…」という方へ
ここまで読んで、「覚えること多すぎ…」と感じた方もいるかもしれません。
それは正常な感覚です。
Mixは専門的なスキルです。プロのMix師は何年もかけてこの技術を磨いています。
- 録音に集中してMixは任せる
- 時間を節約して投稿ペースを上げる
- プロのクオリティを手軽に手に入れる
「自分でやるか、依頼するか」の判断基準は「自分でMix vs 依頼する」で詳しく解説しています。
音圧の調整やYouTube向けの最終仕上げについては「音圧とは?YouTubeラウドネス」も参考にしてください。
まとめ
歌ってみたのMixで最低限必要な処理は、以下の5つです。
1. ノイズ除去: 録音データをクリーンに
2. ピッチ・タイミング補正: 歌を整える
3. EQ: 音質を調整
4. コンプレッサー: 音量を整える
5. リバーブ: 空間を作ってinstに馴染ませる
この順番で処理することで、素人感のある録音データが、聴きやすい音源に変わります。
「全部自分でやるのは大変そう…」と感じた方は、Mixだけを外注するという選択肢もあります。
録音さえできれば、あとはデータを送るだけでプロのMixが手に入ります。